柔道着の着用ルール樋口智之2022年5月2日読了時間: 2分皆さんは旅館などで浴衣を着る際、左右どちらの襟が前だったか迷った経験はありませんか?筆者は最早23歳になろうかとしていますが、つい先日まで浴衣は「左前」で着用するものだと思っており、知り合いに死に装束だと指摘され恥をかきました。さて、このような「右前」「左前」ですが、柔道着を着る際にもルールが存在しています。現在柔道着は右側を手前にして左側を上に重ねて着る「右前」がルールとして明文されていますが、これは以前ルールとして明文されていませんでした。それまではいわゆる不文律としてのみ存在していた「右前」ルールですが、わざわざ明文化したのですから、そうせざるを得ない事件が起こったわけです。1996年アトランタ五輪女子48キロ級で、後にシドニー・アテネ五輪で金メダルを獲得することになる田村(現姓・谷)亮子選手は国内外四年間負けなしという万全な状態で大会に挑んだにもかかわらず、決勝で当時無名の北朝鮮選手にまさかの敗戦を喫してしまいます(勿論この柱順姫選手も後に五輪・世界選手権で何度もメダルを取るほどの強豪です)。この北朝鮮の選手は柔道着を「左前」に着るという奇策に出ることで、組み手争いで優位に進めました。普段とは反対の襟が前にあることで、さすがの田村も戸惑い攻めあぐねた挙句ポイントを奪われ、そのまま敗戦してしまったのです。この件を受け、国際ルールに柔道着は「右前」に着ることが明文化され、現在に至ります。このように柔道のルールは時代の流れとともに変化していくものであり、このような変化も柔道を楽しむ一つの要素となっているのではないでしょうか。令和4年卒 樋口
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