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映画感想②:ウクライナ

更新日:2024年5月19日

こんにちは、2年の堀部です。本日5月17日の稽古は久しぶりに2・3年の部員と留学生だけの稽古で、私は西岡と2回やって疲れました。こんな日は二郎を食べたいものですが、立川まで行く気力もないです。国立にも二郎ができることを願うばかりです。


さて今回も映画の話をしようと思います。先日私は久しぶりに映画をはしごし、しかも内容も関連していました。結論から言うと、一日で私はウクライナ侵攻への造詣が深まったのです。以下、ネタバレを含みます。


一作目は「マリウポリの20日間」(原題「20 days in Mariupol」)です。ウクライナ侵攻初期にマリウポリへ取材に入ったジャーナリストの記録をまとめたもので、ニュースで流れたことのある映像も映ります。二週間も経たぬうちにマリウポリの産科病棟が攻撃され、血を流しながら逃げる妊婦や、失われた子供の命が記録されていました。印象的だったのは、「(映像は)痛ましく、見るに堪えない。だがそうあるべきだ。」というメッセージを載せて編集局に映像を送るシーンです。記録映像は戦争を止める切り札になるとも考えられていますが、結局ロシアが先ほどの産科病棟攻撃の映像について「ウクライナの演出だ」と主張したりと、情報戦がそう単純ではないことを思い知らされます。



現在ウクライナ情勢が日本で報道されることはずいぶんと減りました。関心が薄れてきた我々に本作品は戦争が続いている現実を思い出させます。ブログ執筆時点で、ロシアは依然攻勢を強めているとのことです。ハルキウ州の占領が進み、欧米からの支援が減少したウクライナは深刻な状況に立たされているのです。民間人への攻撃を辞さないロシアの支配をこれ以上広げるわけにはいきません。一刻も早く人道的支援と停戦がなされることをお祈りしております。


さて、そのウクライナ侵攻の初期に多くの難民をポーランドが受け入れたことは皆さんも覚えていることかと思います。しかしウクライナ侵攻前のポーランドの難民受け入れの実態は大きく異なっていました。それを描いた作品が、私が午後に鑑賞した「人間の境界」(原題「Zielona Granica」、英題「Green Border」)です。



本作品はアフガニスタンとシリアからの難民の家族ががベラルーシ経由でEU圏のポーランドへ逃げようと、飛行機に乗っている場面から始まります。難民と聞いてイメージするような悲惨さはそこにはありませんが、ポーランドへの国境に入ったところで雰囲気は一変します。ポーランドの国境警備隊にベラルーシへ強制送還され、またベラルーシ側でも同じことをされるのです。警備隊は彼らを物のように扱い、あまつさえ妊婦を柵の向こうへ投げ飛ばします。こういったシーンは、ベラルーシがアジア・アフリカ系の難民をEU圏に送り込むことで国内の不和と分断を深めようとしているという実情の描写なのです。本作はこの後国境警備隊や活動家の視点に切り替わりますが、途中の展開は割愛させていただきます。ラストシーンで大量のウクライナ難民がポーランドの国境警備隊に温かく迎え入れるのですが、この対応の格差という現実、これが本作の主題なのでしょう。


ウクライナ侵攻の悲惨な実態を見た後だけに、私は居心地の悪い気持ちになりました。しかし命の危機に瀕しているのは中東の人々も同様であり、人種差別という形になっている理不尽な現実に一アジア人として憤りを覚えます。守られるべき市民が、時に突然家や命を失い、時に政治的兵器として用いられる。この過酷な事実を突きつけらたとき、現在平和な社会に生きる我々は何を感じるべきなのでしょうか。悪いのは戦争、と決めつけるのは早計だと思います。このような対応の差はヨーロッパに暮らす人々が、同じ肌の白い人のニュースの方により関心があったという、誰もが持ちうる無意識の差別に因るものなのですから。関心といえば、5月24日に「関心領域」という、強制収容所の隣で暮らす家族を描いた映画が公開されるそうです。中間試験が終わったら見に行ってまた感想を書こうと思います。次回のブログの内容が決まったところで、今回は締めさせていただきます。お読みいただきありがとうございました。



2年 堀部

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