プロの技術
- 舩本結太郎
- 8月2日
- 読了時間: 4分
こんにちは、1年の舩本です。8月2日の稽古では部内戦(練習試合)が行われました。5対5の団体戦、私は先鋒として相手チームの今田と戦いました。私にとってはこれが初めての柔道の試合となったのですが、ルールや戦略を何も考えず挑んだ結果呆気なく敗北しました。後から振り返ると、もっと時間をかけて試合を展開させていけば十分勝機のある勝負だったと自分の未熟さと弱さを実感しました。投げられてからというもの、ただただ悔しさが心に張り付きました。久しぶりに味わったこの感情から強くならなければという意志が芽生えたのです。成長のためにもっと技術を知り、手にしたいと思いました。この日は私にとって転換点となりそうな稽古でありました。ちなみに団体戦は今田の3人抜きという大活躍もあり今田属する足立主将チームが勝利しました。このチームには帰国中のユライさんも参加してくれました。練習後には部員一同ユライさんと共に写真を撮り、昨年度三商戦の功労者との和やかな時を過ごしました。ユライさん、練習参加ありがとうございました。
先日私は、CreativeMuseumTOKYOで開催されている、アニメ化も大ヒットの超人気漫画『僕のヒーローアカデミア』の原画展を観に行った。私はこの作品を小学生の頃から愛読しており、一橋入試2週間前に2日かけて全42巻を再履修するという暴挙を行う程に大好きである。ここで一度『ヒロアカ』の魅力を素人ながら語ってみる。この作品はとにかく漫画としてのレベルが特段に高い。物語の構成力が驚異的で、長期連載にも関わらず大きな矛盾や失速がなく、一章一章が滑らかに繋がっていく。またジャンプ漫画らしさが全開であり、社会へのメッセージ性を孕みながら少年漫画をまっすぐ貫くストーリーや台詞回しに読者は心踊らされる。そして何より作者の絵が上手い。そんな絵描きとしての作者への高々とした評価も後押ししたのか、連載が完結したこのタイミングで初の原画展が開かれた。
原画展開催の告知を見て参加を早々と決めたが、私が漫画の所謂リアルイベントに参戦するのは初めてであった。会場に着いてまず驚いたのは客層と混雑だ。この展覧会は事前予約制で、日時も指定されている。申込の際、予約可能日時に×が多く見えてはいたものの、まさかそれほど混むものではないだろうと高を括っていたが、目論見は翻された。入場待機列には多くの人が並び、予約時間を待っていた。30分単位で160人ずつ入場していき、開催期間は2ヶ月。ヒロアカは私の想像を超える人気であった。発行部数ではピンと来ない、確かな"読者"が目に見えた。また、想像以上に若い女性客が多かった。およそ7割方はこの層が占めているように見受けられた。確かに男性キャラの多い作品のヲタクには女性が多く、イベントに対する興味関心の指向も女性の方が高いと思うが、それでも少年漫画のターゲット層である私のような男性が少数派であったのには驚いた。これまた"リアル"イベントでこそ味わえる体験であろう。
展示会の形式は、作品の展開順に漫画のワンシーンのネームや原稿を見せていくというものである。名シーンばかりを切り取られる為、強めのハイライトを見ている感覚となり、何度も心震わされ涙腺も綻んだ。それに加え展示の壁や柱のアチコチに作者直筆のキャラクターの(ハイレベルな)落書きが描かれていた。こういった遊び心が真剣味のある原画の展示に良いアクセントとなり、来場客を楽しませていた。結果的に私は展示会に4時間滞在することとなった。この原画展は逆流禁止の為見返して何周もするようなこともなかったのに、4時間である。特に私が遅かったという訳でもなく、皆がこれくらいの滞在時間であったように見受けられた。これほど人を惹き付ける作品及び展示を構成したプロには深い敬意を表する。
展示の構成要素の中で特に私が感心したものがある。実は、展示には原画と共にそのシーンについての作者のコラムが付属しているのだが、これが大変魅力的で興味深いものであった。コラムの多くでは、なぜこのシーンでこの見せ方(コマ割りや台詞,シナリオ)にしたのかについてが語られている。そこには漫画家の読者に"見せる"為の工夫が詰められていた。草稿から様々な修正を重ねて我々が読む漫画が完成する。コラムには改善前の案も紹介されているのだが、実際改善前より最終版の方が圧倒的に良いと然と感じられるのだ。作品に限ったものではなく、我々が何気なく享受する物々にはプロの技術が込められているのだと今一度知った。その工夫に少しでも気付けるように、または技術を得られるように、これからもっと色々なものを学んでいきたいと強く思った。『僕のヒーローアカデミア』の魅力に改めて触れると共に、自分の好奇心と探究心が刺激される、素晴らしいイベントであった。
駄文を失礼。




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