どうして100キロの人を60キロの人がもちあげられるの?小池凜太2022年4月20日読了時間: 2分柔道の試合や練習の動画を見て「どうして小さい人が大きい人を持ち上げる、投げることができるのだろう?」という疑問を持った方もいるのではないでしょうか。今回のコラムではその疑問を考えてゆこうと思います。子供の頃、親におんぶされた経験のある人は少なくないのではないでしょうか。思い出してみてください。あなたをおんぶするとき、親はどんな姿勢で「おいで」と言っていたでしょうか?恐らくしゃがんで、前屈みになってそう言っていたのではないでしょうか。そしてあなたは親の背中に駆け寄り、おんぶしてもらっていたのではないでしょうか。そしてもう一つ。おんぶ中の親の姿勢はどうだったでしょうか?直立だったでしょうか?たぶん少し前屈みだったのではないでしょうか。そう、おんぶの前、おんぶの最中、ともに前屈みなのです。ではなぜ、前屈みなのでしょう?簡単です。子供をおぶることで重心がうしろにずれるからです。通常、人の重心は両足の間の点にあります。子供が背中に乗ることで後ろに重心がずれ、そのままだと人は後ろに倒れます。そうならないように前屈みになることで重心を元の位置に保っているのです。そして同じことが柔道の投げ技にも言えるのです。柔道の投げ技はとても早い一つの動作のように見えますが、実は3つのパートに分かれています。「崩し」「作り」「掛け」です。「崩し」とは相手を前方に引き出し、前屈みにして、相手の重心を相手の足の間より前にすることで、おんぶの時の「おいで」と言っている準備段階に該当します。「作り」は技に入ること、よく知られている背負い投げを例にとると、背中を相手に向け、懐に入る時のことです。おんぶでは子供が背に乗る瞬間です。「掛け」は背中に乗った相手を前方に投げることです。おんぶでは……ありませんよね。こうしてみると、柔道の投げ技は、投げる側の力が強いから、ではなく物理法則に従った重心の移動によりなされていることがわかりますね。どうでしょう、自分より重い人を持ち上げるイメージは湧いたでしょうか?実際に試してみたい人や疑っている人はぜひ有備館へ足をお運びください!いつでも大歓迎です。さて、次回の小池のコラムは「受け身って何?受け身をすると何がいいの?〜柔道って痛くないの?〜」の一本です。次回もまた読んでください!
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