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映画シリーズ⑤:トラぺジウム

こんにちは、2年の堀部です。本日6月27日の稽古には野瀬先生と伊藤先輩にお越しいただきました。ありがとうございます。最近は夕方でも蒸し暑く乱取に何本も出るのが難しいため、その分筋トレを頑張っていこうと思います。皆様も熱中症にはお気をつけてください。


さて、今回も映画について話していきたいと思います。ナンバリングが疎かでしたが、映画について語った回を数えたらこれで5番目でした。前回のブログでそろそろアニメ映画でも見ようと話した通り、5月公開の「トラぺジウム」を見てきました。本作は元乃木坂46のメンバーである高山一実さんが執筆した小説のアニメ映画化で、アイドルを目指して周りを巻き込んでいく女子高生を描いた作品です。とはいえ体験談というわけではなく話はフィクションらしい展開になっており、筆者にとってのアイドル像に焦点を当てたストーリーとなっております。実はわたくし、この作品を2回見に行きました。なぜなら1回目、レイトショーで劇場は空いていたのに、なぜか隣に男が座ってきて不気味で集中できなかったからです。結局手を出してきたりアピールをしてきたりはしなかったのでハッテン場ではなかったようですが、鼻息は荒いし偶に何かを呟くしで極めて不快でした。ということでこのブログは2回目を楽しんだ後に執筆しております。


インターネットでこの映画の感想を調べてみると賛否両論です。私も鑑賞後これは好き嫌い分かれるだろうなあと第一に思いました。なぜなら主人公は性格が極端で、自分本位かつ行動力はあるせいで気づかぬうちに周囲を傷つけていくようなキャラクターだからです。エゴが強い主人公についていけずアイドル業を辞める他の登場人物に感情移入すると、主人公は怖くて嫌な奴に見えてきます。しかし最終的にはアイドルになるという夢をかなえる主人公を、現実のアイドルたる筆者はなぜこんな子にしたのか、それはやはりアイドルになるにはこれくらいの精神性が必要だからということでしょう。手段を選ばないぐらいじゃないと輝くアイドルにはなれないけれど、それで周囲の人を傷つけていいというわけではないということを主人公は学んでいくという話だったと考えられます。


ところで、自分の目標のために周りを気にしない人、というのはどこにでもいる存在なのではないでしょうか。「トラぺジウム」はそんな人との付き合い方を教えてくれるような気がします。答えは単純、説得は無駄であり、その人がいつか恥じて反省するのでなければ距離を置いた方がいい、ということです。反省といいましたが、その人が目標を諦めても決してハッピーエンドにはなりえません。本作においても、アイドルになることが皆にとって幸福だと信じ込み囚われていく主人公と、人目が苦手で結局心を病んでしまった仲間が対照的に描かれる場面が描かれます。近くにいる人も笑顔にできないのに、とつぶやいて他の仲間がアイドルとしての仕事を辞めたことで、初めて主人公は立ち止まり、自省する機会を得たのです。その後メンバーはそれぞれ自分のなりたい道に進み、アイドルになった主人公はあの頃の自分を幼稚だけど輝いていたと振り返ることができました。この話から、自分本位な人と付き合う上では、その人と同じように頑張れる理由を得るか、でなければ完全に道を別つかしなければ、お互いにとって幸せは得られない、という教訓が伝わってくると私は思います。


私が昔読んだ文章の中に印象的な一文があり、うろ覚えですが紹介させてください。「小説を読んで学べることは、既に知っていることか、知りたいと思ってることだけだ。」のような感じだったと思います。今回は映画ですが、私が先ほどの教訓を得られたのはそれを知りたいと思ってたからではないだろうか、という話をします。高校の頃からオンラインゲームをする友人が何人かいるんですが、いくつかのゲームは自分がすごくやりたがっていたのにすぐに飽きてしまうんです。その理由が、友人のうち1人がどんどんゲームを進めて、熱量の差から楽しさがわからなくなってしまったからだ、とこの作品で気づけました。私は先述の、人目が苦手で病んでしまったキャラクターなのです。ならばもしゲームをやりたくても、それに拘らずに一人で別のゲームをやればいい。普通の人にとってアイドル業は数ある選択の一つにすぎないように、楽しいゲームも星の数ほどあるのですから。


最後になりますが、「トラぺジウム」というタイトルについて軽く考察をしたいです。トラぺジウムというのはオリオン座の四連星で、主人公たち4人の輝きを表すといわれています。ところでこの単語にはもう一つ、不等辺四辺形、すなわちどの二辺も並行ではない四角形という意味があります。すなわち目指す目標が違うから衝突する、そんなメッセージ性があるとしたらとても素敵ではないでしょうか。最後までお読みいただきありがとうございました。



2年 堀部

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