平成19年卒 星野先輩
初めまして、2007年卒の星野晋一と申します。
新入生のみなさん、ご入学おめでとうございます。
引き続きのコロナ禍で入学後もなかなか周囲とコミュニケーションが取れず、新入生同士の情報交換にも苦慮されているのではないでしょうか。コロナにより、世界全体がここ数年で大きく変化する中、当然、我々の在学時と皆さんのおかれている環境は大きく異なっていると思います。
皆さんの大変さ・辛さを全て理解できているわけではありませんが、今回、私の入学当初、在学中、卒業後について少し書かせて頂きますので、多少なりとも参考になれば幸いです。
まず簡単に自己紹介しますが、私は2007年に開成高校を卒業後、経済学部に入学しました。ゼミでは統計学を専攻しましたが、そちらとは一切関係のない経緯で就職活動を行った結果、最終的には柔道部OBの縁もあって、三井住友銀行に勤めることとなりました。そして今は、カードローン事業部という部署でプロモーションの専担として働いています。
昨今デジタル化が進む中で、プロモーション業務もAIを活用したモデリング・高度化がなされていますが、その結果、在学中に専攻した統計学の知識が役立っているのは面白い縁だなと感じています。
大学で柔道を始められたきっかけはなんですか。
さて、私が柔道部に入部したきっかけですが、実は私は大学までほとんど柔道をやったことがありませんでした。中学、高校時代はサッカー部でしたので、入学後もサッカー部やフットサルサークルを覗いていました。
ただ折悪く、新勧活動の真っただ中でインフルエンザに罹ってしまい、完全にタイミングを逃してしまいました。既にどの部・サークルも新勧を終え、新入生同士も仲間意識が芽生えている頃…。やるせない気持ちで途方にくれていたところ、しつこく声を掛けてきたのが柔道部でした。
折角の大学生活、何か新しいこともやってみたいと思っていたし、いまだに声を掛けてくるということは、この部は自分を求めている…?居場所があるのでは…?と。そう思って試しに一度顔を出してみたところ、部の雰囲気がとても柔らかく(柔道だけにね!)、直ぐに馴染むことが出来ました。また、私は実家からの通学にやや時間がかかったのですが、部室が非常に高性能(冷蔵庫、洗濯機、お風呂、布団、テレビ、漫画が完備)だったため、そのまま居着いてしまった、というのが実態です(なおその後、部室にゲーム機まで持ち込んだのは私です)。そんな経緯で入部した柔道部ですが、思い出深い出来事が多々ありました。
柔道部で思い出に残っていることはなんですか。
まず初めは、黒帯を取った時のことでしょう。入部当初は当然白帯から始めましたので、先輩や同期が締めている黒帯にはとても憧れていました。昇段審査では型の審査と実戦の二つがあるのですが、特に実戦ではガチガチに緊張しました。仲間内では良く乱取り(実戦形式の練習)はしましたが、他大学、時には高校生・社会人も交えての実戦はほとんど経験していなかったため、この世の終わりのような気持ちで道場に上がりましたが…気が付いた時には一本勝ちで、黒帯を受け取っていました。どうやって投げたのか、もう無我夢中で覚えていないですが、強烈な嬉しさ、そして安堵感に包まれたことは、良く覚えています。
そして最も印象深いのは、やはり「旧三商大戦」です。新入生のみなさんもご存知と思いますが、一橋大学(東京商科大学)、神戸大学(神戸商業大学)、大阪市立大学(大阪商科大学)の3校で競う大会です。通常、柔道は「1対1の個人戦」、または「5対5の団体戦(個人戦×5試合)」を基本としますが、旧三商大戦では「15対15の勝ち抜き戦」を行うため、そこには様々な戦術、そしてドラマが産まれます。
この話を始めると、あと数百行は必要になってしまうので断腸の思いで割愛しますが…一つこれだけは言えるのは、今も含め、私の人生の中で「最も本気で」、「最も死力を尽くし」そして「最も悔しい思いを味わった」のが、この大会だったと言えます。こればかりは、どれだけここで言葉を尽くしても伝えきれる気がしないので、少しでも興味を持った方は是非、一度柔道部に足を運んでみてください。現役部員たちが、映画やドラマよりも余程面白く、魅力を語ってくれるでしょう。
柔道部での経験は社会人になって活きていますでしょうか。
このような4年間を過ごし社会人となったわけですが、仕事においても柔道は役に立っています。例えば、会社では様々なタイプの上司・同僚と接することとなり、時には理不尽なことを言われ…腹が立つこともあります。「なんだこいつ、頭おかしいんじゃない?」と思っても、口には出せませんよね。そんな時は、頭の中で思い切り相手を投げてみます。そうすると「なんか偉そうなこと言っているけど、この人多分、簡単に投げられるよね?」「本当に投げちゃったら受け身も取れないし、きっと痛がるよね?泣いちゃうかもしれない。」とか思うと、不思議と上司の無茶振りにも優しい気持ちになれるのです。柔道はこのように役に立ちます。素晴らしい。
さて長くなりましたし、最後の方は上司に見られると不味いことを書いたような気もしますが…それは置いておいて、新入生の皆さんへの言葉で絞めたいと思います。
新入生に向けたメッセージをお願いいたします。
大学生活はあなたにとって、とても重要な4年間(人によっては最長8年間)ですが、思いのほか「あっという間」です。そして4年後にはもう、社会人になっていると思いますが、恐らく「誰でも良い仕事」はAIに代替されるようになり、「あなたらしさ」が求められると思います。柔道部はきっと、あなたにとって一つの「特異なパーソナリティ」になり得ると思いますので、これまで柔道を経験したことがない方こそ、是非、一度部室に足を運んでみてください。柔道部は「あなたを」待っています。

